著者は経済評論家「加谷珪一」
昭和44年、仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っており、ニューズウィーク、現代ビジネス、ITメディアビジネスオンラインなど各誌で連載を持つ。テレビやラジオでコメンテーター、パネラーなどを務める。(Wikipedia)
参考になった内容のまとめ
第1章:普通の人の見立て お金持ちの人の見立て
- お金の集まるところには、権力と情報が集まる。
- ニュースを読み解くときは、数字と時間を意識する。例えば、原油価格の下落は先進国には大きなメリットをもたらす。1年後くらい。
- グローバル企業が求められる要求水準は高い。
- 第1章サマリー
- 情報リテラシーの高い人は、情報の前後関係を必ず確認する。
- 数字と時間を遣って、この状態が続いたらとうなるかを試算する。
- 著名経営者については、何をしてきたかを冷静に評価する。
- 社会問題や経済ニュースには感情的にならず、事実を把握する。
- 国の進みたい方向に沿うように、自分の戦略も立てる。
第2章:マネー・インテリジェンスの基本
- CIAをはじめとする、各国のインテリジェンス機関の仕事の大半は、拍子抜けするほど地味なものといわれている。特別な情報収集能力があるようにみせるのも、インテリジェンス活動の重要な仕事のひとつ。
→ 特別な情報を持っていると思わせることは、情報収集活動にとって非常に有効に作用する。情報を持っていると思われている人のところには、情報が集まりやすいという特徴があるから。 - 断片的な小さな情報も丹念に収集して、パズルを組み立てていけば、やがて大きな情報に変化させることができる。
- インフォマトリックスを意識して情報の整理を行う。
- ストーリーに関連するデータやマクロとミクロを意識する。
- 会社や国を分析するときは、まずはマクロをみてから、ミクロに落としていく。まずはGDPといった大きな数字にあたり、概略をつかんでから、徐々に細かい情報にシフトしていく。
- 第2章サマリー
- どんな職業の人が発信しているかで、情報の特性も変わってくる。
- 公開情報の精査の順番はマクロから徐々にミクロにしていく。
- 物事の真実は、絶対値よりもその変化のなかに見えてくることが多い。
- 明瞭に物事を言い切る学者は、学術の領域を超えて発言している可能性もある。
- ストーリーを重視した情報分析には、それに都合のよい情報だけが集められる危険性もある。
第3章:情報は願望からつくられる
- 日本は投資家が多いわりに起業家が少なく、資金を調達しやすい社会風土がある。
- Newspicksやスマートニュースなどのキュレーションニュースがあるが、結局のところ恣意的なまとめ方をされるので新聞と大して変わらない。
- 第3章サマリー
- 最先端技術は、夢や国威といったバイアスで歪められることも多い。
- 伝説の経営者や投資家の真似事をしても、凡人には実利はない。
- 要人の発言は、何に触れなかったか、を深読みする価値がある。
- 検索エンジンは人々の見たいものから順に表示する。
- 情報の編集者は、人々の関心に合わせ、情報の偏りを積極的に作ろうとする。
第4章:ニュースは時間で変化する
- 第4章サマリー
- 少し前までの正義がいつの間にか悪者になるのは経済ではよくあること。
- 社史にはその企業における成功と失敗の鍵が刻まれている。
- その国の豊かさと観光客のマナーの良さはおおよそ比例する。
- 時代認識の移り変わりについては、当時の体験を整理できている人から話を聞く。
第5章:情報の本質は出しての意図にある
- 伝統といわれているものには意外と最近作られたものも多い。
- エコノミストの発言はすべて所属機関ためにされている。
- 大手の金融機関にとって、最大の顧客は個人投資家ではなく、莫大なお金を運用する機関投資家。具体的にいうと、顧客から獲得した保険料を運用する生命保険会社、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、投資信託の運用会社などがこれに相当する。
- 機関投資家は多く設けるよりも、常識的な運用を行ったという事実の方が大事。つまり、アナリストやエコノミストの主張は、多くが無難な内容になる。よって、経済が上り調子の時に悲観的な意見を述べるエコノミストはあまりいないし、株価が上昇しているときに売りを推奨するアナリストも少数派となる。
- ブログやSNSで提供される情報は宝の山。この情報をどう活用するかでビジネスや投資の成果は大きく変わってくるといっても過言ではない。
- 情報を提供している本人が、純粋に日記のつもりで記録していて、金銭的・政治的な目的を持っていないものは最高の情報源となる。
- ブログ情報の取捨選択をするポイントは、過剰な自己主張や承認欲求がない人を探すこと。
- 不動産業界を例にあげれば、不動産営業マンが日頃の仕事を適当に書き記したブログといったノリのブログが最適。こういった情報を丹念におっていくこと。海外の情報を入手する場合によこうした手法は威力を発揮する。マクロからミクロに移るときにこのやり方がよい。
- 自己主張のないブログを見つけることができれば、情報収集・分析能力は一気に高まる。
- コツコツとネット上でサーチを繰り返す以外に方法はない。
- インタビューするときは相手がどんな人物かについて情報収集すること。これは手を抜いてはいけない。まず相手を喋らせること。語りたい欲求をうまく刺激すること。特に日本人はその傾向がつよいが、人は思いの外、強い承認欲求を抱えている。とにかく俺が俺がと語りたい人が多い。ここをうまく刺激できると、その語りのなきら非常に重要な情報を引き出すことが可能となる。
- ジャーナリストの取材方法は基本は「ヨイショ」。相手を持ち上げることで、多くの人がよい情報を提供してくれる。
- ライバル会社の情報を聞く場合は、基本的に利害関係を軸にした取引が効果的。ライバルに関する情報を提供することで条件面で有利になると思わせることができれば、相手は積極的に情報を出す。情は意味がない。
- 第三者はストレートに質問した方が有効に作用する。どのように利益をあげてるかというドストレートな内容でもよい。特に成功して余裕がある人の場合は露骨な質問でも答えてくれる。
- 人とのコミュニケーションが密なところには自然と情報が集まってくる。
- 第5章サマリー
- マスメディアは主義主張を打ち出す存在ではなく、大衆を映すかがみ
- 金融機関に所属する識者は、漏れなくその組織の利益になることを言う。
- 官僚出身者の言動は、古巣への貢献かリベンジに二極化する。
- 業界のプロが息抜きに書くようなブログSNSにお宝情報の可能性がある
- 記者は相手の立場を理解し、気分よくさせて、重要な情報を引き出す
第6章:情報の価値を極限まで高めるコツ
- 平野があるところが栄える
- 国ごとの豊かさの違いを表す数字は、一人あたりのGDP
- 日本の住宅ローンは、米国と比べるとかなり危険な商品。米国は売れば返済義務がなくなるが、日本の場合は、差額が残っている場合には、容赦なく返済を迫られる。そのため自己破産が多い。
- 優れた営業マンであれば、経験則的によくわかっていることだが、商談が滞りがちになるときには、相手がメールに返信するまてまの時間が長くなる傾向がみられる。
- 定点観測していくと見えてくるものがある。
- 第6章サマリー
- 数字は見出しの助詞などに惑わされず、単体では意味付けをしない
- 数値を地図などのビジュアルと組み合わせることで気づくことがある
- 不可解な事象は、お金の動きという補助線を引くと氷解することがある
- 自分の思い込みに気づくには、複数の情報を比較すること
- 曖昧な発言でも過去の発言と比較することで、行間を読むことができる
- 定点観測で消えたものは、発信者にとって都合が悪くなったもの
- 総論(マクロ)、各論(ミクロ)の順でみていく。ただし、この時総論を間違えるとまずい。
- 戦術のミスはやり直すことで、対処することができるが、戦略のミスを戦術でカバーすることはほぼ不可能。